シロアリ駆除剤に安全なものなどありません。
どの薬剤も、毒物劇物取締法などをもとに様々なメーカーや研究室でその効用と安全性は確認されています。 そして、販売される際には『安全データシート』といって、ラットやコイ、ウサギなどを用いて、どの程度の量を与えると50%が死ぬかという許容量などを提示しています。 こうした毒性試験では、例えば、
経口ラット LD50 3000mg/kg
と表記され、口からその原体(薬剤の主成分のこと。薬剤とか、皆さんが普通に薬という場合は、その原体を言うのではなく、主成分にさらに乳化剤や溶剤、展着剤などいろいろな補助剤が加えられたものをいいます。)を、1kg当たり3000mgを口から吸収すると、半分のラットは死にますよと言っているのです。 LD50の値は、どんなに安全だと言われている原体でも数値がゼロということはないのです。 にもかかわらず「安全だ」という根拠はどこにあるのでしょうか。
そこでみなさんにご紹介したいのがベイト剤という駆除剤なのです。
ベイト剤とは?
ベイト剤というのは純度の高いセルロースに脱皮阻害剤を浸透、吸着させたものです。
脱皮阻害剤の主成分は、リストリフルロン、ヘキサフルムロンなど様々ありますが、要は、昆虫の皮膚や外骨格の主成分であるキチン質の合成を邪魔する成長制御剤なのです。
分かりやすく言えば、白蟻はおよそ1ヶ月に1回脱皮をするのですが、その脱皮ができなくする薬剤がベイト剤なのです。
この脱皮阻害剤は、人間や魚などに対する毒性が低いと言われています。
ですから、「脱皮をしない人間には安全だ」などという説明がなされたりします。
でも、これも本当でしょうか。「毒性が低い」といっても、「ある」といっているのです。
そこで私は実験をしてみることにしたのです。
それが下の金魚と鈴虫の写真です。
| 【金魚】 | 【24時間後】 | |
![]() |
⇒ | ![]() |
| 【鈴虫】 | 【24時間後】 | |
![]() |
⇒ | ![]() |
槽の中に茶色のトイレットペーパーのような円筒形のものがありますよね。 それが、15gと40gのベイト剤です。形態については、用途によりいろいろありますので問題ではありません。 実験時間はそれぞれ24時間でやめました。
というのは、人間や魚類に毒性がないといっても「いずれ死ぬだろう」と予想して始めたのですが、「死ぬ」ことを待っている自分に気がついた時、「何て、イヤな自分なんだ」と吐き気がしたからです。 ただ、たとえ何時間目に死んだにしろ、私が知る限りこれ以上のものはないはずなのです。
ちなみにあえて言えば、およそ95%の業者さんが「安全だ」といって大量散布している安全な薬剤を入れたら数分も経たないうちに全て死ぬはずです。
なぜ私がわかるかと言えば、それは以前、知らずに屋外でそれらの薬剤をまいた時、あっという間もなくミミズが地面から飛び出し、のたうちまわって死んだ姿を見たからです。
だから、わかるのです。
では、ベイト剤は一体どのようにして使用するのか、その使用法についてお話しましょう。
ベイト剤の使用方法と特徴
- 建物の周辺で白蟻の生息や活動が見られないならば、そしてしばらくは被害を受ける可能性がないと判断できる時は、薬剤を一切使用しません。
- 生息が確認され被害を受ける可能性があると判断した時のみ、生息が確認できたか、可能性が高い箇所に限定して使用します。
- 駆除効果が確認できた時点(ベイト剤投与後およそ1ヶ月~3ヶ月程度必要です)で残ったベイト剤はすべて回収することができます。
- 白蟻の集団を駆除するのに必要なベイト剤の量は80g程度(集団の大きさやその敷地内にいる集団の数により変化)であり、白蟻が食べる薬剤の量は主成分として1g程度です。この1g程度が床下や敷地内に残る可能性がありますが、時間とともに分解され薬剤がいつまでも残るということはありません。
- ベイト剤は専用の容器内にのみ置かれるためにイタズラや雨などによって流れ出る危険性は、ほとんどありません。
- 白蟻に振動や強い光など刺激を与えると、危険を感じて逃げ出しますので、ベイト剤を投与する時は刺激を与えないようにすることです。
ベイト剤での駆除はなぜ時間がかかるのか?
白蟻は危険を察知する能力がするどく、例えば即効性の強い成分を使用すると、食べている間にその場で死んでしまいます。後からベイト剤に近づいてくる白蟻は、仲間が死んでいるのを見て、ベイト剤が危険だということを知ります。
こうなると、もう後からきた白蟻は、ベイト剤を食べなくなってしまうのです。 そこで、効果がゆっくりと表れる遅効性の成分を使い、白蟻の集団すべてがベイト剤を食べるように仕向けます。
そして、ベイト剤=脱皮阻害剤と言いましたよね。
白蟻はその集団がすべて一度に脱皮する訳ではなく、個体ごとに少しずつ脱皮していきます。 つまり、徐々にゆっくりと脱皮できない白蟻が絶滅していくわけです。
ではどうやって絶滅したか判断するかというと、以下のような現象を目安とします。
- 白濁化する
- 職蟻がベイト剤の近くで死ぬ
- 兵蟻しかいなくなる
- 場合によってクロアリの集団が現れる
- 姿が全く見えなくなる
このように、ベイト剤を使っての駆除には時間がかかります。しかし危険な薬剤をむやみに使用する駆除方法と比較して、遥かに安全性が高いのではないかと思います。
もう一度言いましょう。
白蟻薬剤に安全なものなどありません。
それをどう使うかという人間次第だと、私は思うのです。



